現在の新品パソコンではもうそういう問題も起こってないんですが、Windows VistaからWindows 7への移行期あたりに発売されたパソコンで
『電源は入るが画面に何も映らなく、HDDが動いている気配もない』
というトラブルが続発していました。
まぁ、ノートパソコンをいじるのが好きな人や、修理業者などは知っていて当たり前な定番トラブルなんですけどね。
自分はノートパソコンと言っても基本的には富士通とNECのパソコンしか扱わないので他社のパソコンのことは知りませんが
AMDのチップセットを搭載しているのであれば、ほぼ間違いなく同じ症状です。
まず、電源ボタンを入れて電源ボタンが光ります。
しかし、画面は真っ黒でハードディスクのアクセスランプも全くつきません。
一時はヤフオクなどでこの症状のジャンク品がかなり出回っていました。
これは、AMDのチップセットのグラフィックチップとマザーボードをつなぐハンダが熱などで溶けて接点が離れてしまうことで起こります。
チップセットはたいていCPUの隣にあるのでわかると思います。
というか、このブログを見に来る人は少しはパソコンのことに詳しい人が読んでいるんだろうと思いますから
細かく写真付きで解説したりはしません(笑)
でも、ヒントにはなるでしょう。
あとは応用でググったりすれば、原因はなにか?直すことができるのか?できるとすればどうすればいいのか?
ということがわかると思います。
直すにはリフロー修理かリボール修理が必要だけど、DIYでできるのはリフロー修理
で、そんな症状がよく出る機種っていうのはもちろんAMDのチップセット搭載機なんですが、
まずは富士通ですが、富士通自身もその事をしっかり認識していたのか2010年9月発表以降のモデルではAMDのチップセット搭載機はラインナップから消えました。
時々大手家電量販店などのオリジナルモデルではそれ以降に発売されたパソコンでもAMDチップセットを搭載しているものもありますが
基本的には別モノ(AMDチップセットというよりAPUというCPUとGPUを統合させた製品)なので同じような症状が頻発することはありません。
つまり、その症状がでるのはコンシューマーモデルで言うとNF/BシリーズからNF/GシリーズまでのAMDチップセット搭載機種です。
2008年秋冬モデルから2010年夏モデルまでの約2年間の間に販売されたモデルってことですね。
そしてNECで言えば当然同じ時期のパソコンなのですが、NECは種類が富士通ほどわかり易くなく種類も多いのですべての機種を把握していません。
自分が知っているのは LL370/S LL550/H LL550/L LL550/R などですね。
当然、全てAMDチップセットです。
そんな「画面が映らない」症状のパソコンは液晶パネルを交換しても意味がありません。
だって液晶が悪いわけではないし、液晶に映像を送る信号の大元がダメになってんですから液晶変えても映らないものは映りません。
それを直すのは「リフロー」か「リボール」です。
リフローというのはヒートガンなどでチップセットに高熱を当てて、一度ハンダを熱で溶かし再びグラフィックチップとマザーボードにハンダの接点を作って上げて再生させることです。
高熱になるものを持っていればできるのでプロでなくても直せる可能性は高いです。
ただ、それなりにスキルは必要なので、プロよりは成功率は低くなるでしょうね。
もう一つリボール修理は専用の機械などもいるので、個人レベルではちょっと難しいでしょう。
これはグラフィックチップとマザーボードを繋げている鉛ハンダの部分を一度全て取ってしまい、新たにハンダ(小さなボール状のもの)をびっしり並べて熱で再びマザーボードにくっつけるものです。
プロに頼めば当然リボール修理のほうが高いですが、今となっては当時のパソコン自身も激安になってますから、高い修理代を払ってまで直す必要もなくなってきました。
じゃあ、リフロー修理は具体的にどうすんの?
ヒートガンさえあればできるリフロー修理ですけど、どうやってやるのか?
まぁ、簡単に「グラフィックチップに熱を与える」だけなんですね。
まずはパソコンを分解してマザーボードを取り出します。
CPUなども外してマザーボードを身軽にしちゃいます。
グラフィックチップのまわりのものが熱の影響を受けないようにアルミホイルでチップセットを囲みます。
この時、グラフィックチップだけが見えるように自分の場合はアルミホイルの真ん中あたりを約3センチ角くらいで切り抜いてそこからチップセットが顔をだすようにします。
その時アルミテープを使ってアルミホイルとマザーボードを留めます。
そしてグラフィックチップのスキマに(非常に薄いスキマなので覗き込むことなどはできません)フラックスを数滴流し込みます。
一辺に数滴流し込んで、それを四辺行います。
それからヒートガンをチップセットから約2~3センチ上部で60秒ほど当てます。
この部分はノウハウがいるのでプロはきっちりとどれくらいの距離を開けるかは正確に離しますし、ヒートガンを当てる時間も◯◯◯度で◯◯秒
と、温度と時間まで管理しています。
なぜ、細かく温度や時間を決めるのか?
それは、失敗してしまうことも多々あるからです。
素人作業で失敗しても映らないまんまですし、リフロー修理に失敗した個体はプロでも直せなくなりリボール修理でしか復活しなくなります。
そこが素人とプロの差ですね。
成功確率が高いのはもちろんプロです。
先程言った「ヤフオクで同症状のジャンク品がたくさん出回ってる」というのは現在で言えば
「ヤフオクでリフロー修理に失敗してどうしようもないジャンク品がたくさん出回ってる」と言い換えてもいいですね。
以前は自分でも成功確率は限りなく100%に近かったんですが、最近のリフロー修理では失敗確率のほうがかなり高く
10台リフロー修理をしても1~2台しか蘇りません。
この記事や他の同様の記事を読んで安いジャンク品をリフロー修理で直して高値で売ろうと思ってる人がいるなら
大変なだけで実益は殆ど無いと言っておきます。
修理に長けてる人の中にはアクドイ人もいる
そうは言っても現実的にはそんなジャンク品ばかりを手に入れ、リフロー修理で直して正常動作品のパソコンとしてヤフオクで売る人はいます。
出品している機種や過去に出品したものを評価などからみると、まぁ明らかに「AMDチップセット搭載機種」ばかり売ってます。
それだけで「リフロー修理してんだろ」ってわかっちゃいます。
だから値段の関係でどうしても古いパソコンを買わなければいけない場合はインテル製CPUを搭載した機種を選ぶようにしましょう。
機械ものなのでどんなものを買っても「絶対トラブルは起きない」ということはあり得ませんが、AMDチップセット搭載機よりはかなり安心して使えます。
結論として
修理できない人→AMDチップセット搭載機は避ける
修理できる人→直す前提なら手に入れても可(しかし、直らない可能性も大)
という感じです。
自分ならたとえ修理できてもめんどくさいんで、AMDチップセット搭載機には手を出しませんけどね。
とにかく、コレを読んだ方は気をつけてくださいね。